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放射線から身を守るために大切なこと

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放射線から身を守るために大切なこと
放射線のイメージ

こんにちは、さち です。

日頃はPC関連について書いているこのブログですが
先日あった福島第一原子力発電所の事故で心配されている
放射線について書いていきたいと思います。

実は、私は放射線に関する資格を持っています。
第1種放射線取扱主任者という資格です。
地震によって起きた福島原発の事故で大変な今
自分にできることは何だろうと考えました。

その結果、放射線についての情報をブログに書くことで
多くの人に正しい知識と対処法を知ってもらうことだと考えました。

放射線の怖さを知ることは大切ですが
怖がっているだけでは自分の身は守れません。
正しい知識=正しい身の守り方を知ることにもなります。

なるべく専門的な言葉は使わず分かりやすく書きます。
自分が置かれた状況を正しく判断するのに役立てれば幸いです。

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放射線とは

そもそも放射線って何なのでしょう?
原爆のイメージだけで怖がっている人も多いのでは。
まずは、放射線が何なのかを知りましょう。

この世に存在するすべての物は「元素」でできているということを
中学生くらいで習ったと思います。
水なら「H2O」二酸化炭素なら「CO2」ですね。
この「H」「O」「C」などが元素です。

ほとんどの元素は非常に安定した状態でいますが
少数ながら不安定な元素もいます。
(例えば、同じ「C」でも安定した「C」と不安定な「C」があります)

不安定な元素は、不安定な状態を嫌がり
その原因となる邪魔なものを外に出して安定しようとします。
イライラしている人がストレスを発散することでスッキリするのを
イメージすると分かりやすいですかね。

このとき外に出されるのが「放射線」なのです。
そして、放射線を出す物質のことを「放射性物質」と言います。

元素は目に見えないほど小さいですが
放出される放射線は大きなエネルギーを持っているため
人体に悪影響を及ぼすことがあります。

放射線を身体に浴びることを「ひばく」と言います。
漢字では「被曝(「日」+「暴」)」と書きますが
見慣れない漢字なので「ばく」をひらがなで書くことも多いです。

「被爆(「火」+「暴」)」と書かれることがありますが
こちらは爆弾などで爆撃を受けることを指します。
ヒロシマ、ナガサキの場合は原子爆弾が原因のため
「被爆」と書いても正しいのですが
単に放射線を浴びることを指すために使うのは本来間違いです。
ただ、相手に意味が通じていれば
そこまで漢字にこだわる必要はないかなとも思います。

さて、私たちは紫外線を浴びると日焼けをしますよね。
紫外線は少量なら問題ありませんが多量だと身体に良くありません。
これは放射線も同じです。
紫外線は主に皮膚に影響が出ますが
放射線の場合は体内(臓器など)にも影響が出ます。

放射線は目で見ることができません。
被ばくしても「熱い」「痛い」と言った感覚はありません。
だからこそ正しい知識と防護法を知ることが大切です。

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放射線の種類

先ほど、不安定な元素は不安定な状態を嫌がり
その原因を放射線として外へ放出し安定しようとすると書きましたが
実は「何を放出するか」によって放射線にはいくつかの種類があります。

代表的なものは
「α(アルファ)線」「β(ベータ)線」「γ(ガンマ)線」の3つ。

みなさんよくご存知の「X線」は γ線 の仲間です。

α線はヘリウム、β線は電子、γ線は電磁波 が正体ですが
これらを覚える必要はありません。
正体が違うから性質も違う。これを理解すれば十分です。
性質が違えば放射線を遮へいする(さえぎる)方法も違うわけです。

放射線の遮へい

上図のように放射線の種類により遮へいできるものが違います

α線はたった紙1枚で遮へいできるほどなので
被ばくに関して神経質になる必要はありません。
他の放射線は金属や(厚い)コンクリート等で遮へいできます。
ただし、エネルギーが強い放射線は遮へいし切れない場合もあります。

「家から出ないように」という勧告には
建物による放射線の遮へいの意味もあるわけです。
遮へいについては木造より鉄筋コンクリートの方が強いと思われます。

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Sv(シーベルト),Gy(グレイ),Bq(ベクレル)とは

放射線関連のニュースなどでよく出てくる3つの単位ですが
それぞれどんな違いがあるのか
よく分からないという方も多いのではないでしょうか。

■Sv(シーベルト)
放射線が人体に与える影響の強さを表す数値です。
放射線による人体の健康被害を考える場合
この数値を見るのが一番的確だと思います。
浴びても問題ないと言われる放射線の量は100mSv(ミリシーベルト)以下です。

■Gy(グレイ)
Sv(シーベルト)は「人体」への影響を見るための数値でしたが
Gy(グレイ)は物質全般に対して使われる数値です。
原発から出る(人体に影響がある)放射線に限って考えた場合
「1Gy(グレイ) ≒ 1Sv(シーベルト)」と考えてよいと思います。
(「1Gy ≒ 0.8Sv」と考える場合もあるようです)

■Bq(ベクレル)
放射線を出す能力、つまり放射能の強さを表します。
例えば、1秒間につき不安定な元素1つから放射線が出る場合
この放射性物質の放射能は1Bq(ベクレル)となります。
Sv(シーベルト)やGy(グレイ)は放射線を受ける側の数値なのに対し
Bq(ベクレル)は放射線を出す側の数値です。

■補助単位「m(ミリ)」「μ(マイクロ)」「n(ナノ)」について
単位の前に「m(ミリ)」「μ(マイクロ)」「n(ナノ)」等が付くことがあります。
m(ミリ)は1000分の1、μ(マイクロ)は100万分の1、n(ナノ)は10億分の1
を意味しています。

つまり、
1Sv = 1,000mSv = 1,000,000μSv = 1,000,000,000nSv
1mSv = 1,000μSv = 1,000,000nSv
1μSv = 1,000nSv
です。

これらの補助単位に気を付けていないと
大きな勘違いが起こることがあるので注意して下さい。
例えば「数値が 1000μSv から 2mSv になった」という情報は
数値だけ見ると小さくなったように感じるかもしれませんが
実際には2倍に上がっているのです。

■「Sv/h」「Gy/h」の意味
報道で発表される計測値には単位の後に「/h」が付いています。
これは「毎時」もしくは「パーアワー」と読みます。
「h」は「hour(アワー)」の頭文字で「1時間」を意味しています。

身近なもので例えると車の「速度」と「距離」の関係に似ています。
速度としての60キロは「60km/h」と書きますが
距離としての60キロは「60km」と書きます。
速度 60km/h は「1時間で60キロ走る速さ」という意味ですね。

同様に考えると、
「1mSv/h」は「1時間で1mSvの被ばくをする放射線の強さ」という意味で
「1mSv」は時間に関係なく、被ばくの合計が1mSvという意味です。

つまり、
「1mSv/h」という表記は「放射線の強さ」をあらわし
「1mSv」は「被ばくの量」をあらわします。
表記は似ていますが、まったく違うものをあらわすので注意しましょう。

計測器で測った数値には必ず「/h」などが付いているはずですが
読み上げる際に「/h」が省略されることがあるので気をつけて下さい。

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放射線の人体への影響

サムネイル
※ クリックで拡大

人間は何もしなくても自然から年間2.4mSvの放射線を受けていますし
医療でも胸などの「レントゲン写真」「胃のバリウム検査」「CTスキャン」など
意外と多くの被ばくを受けています。

飛行機に乗ったり山に登ったりすると
宇宙から降り注ぐ放射線に距離が近づくことになり被ばくが増えます。

これを踏まえると
少しくらいの被ばくでは人体への影響は特にないことが
分かってもらえると思います。

放射線の計測値が上がったとしても無闇に心配せず
まずはその数値が人体に影響が出るほど大きいのかを見極めましょう。
例えば、普段「0.00005mSv/h」である地域が「0.005mSv/h」に数値が上がると
「放射線が普段の100倍に上昇している」と言えますが
実際は約60日その場に居続けてCTスキャン1回分という数値です。

身体に何も症状がないのは100mSv以下と言われていますが
放射線の仕事をしている人は年間50mSv(ただし5年間合計100mSv)に
抑えるよう定められているので
一般の方もこれ以下に抑えた方が安心でしょう。

この「100mSv」という数値には
医療や自然からの被ばくが含まれていないので
実際はもう少し被ばくしても症状は出ないと思われます。

被ばくの影響は、細胞分裂が活発な身体
つまり、成長途中の身体ほど大きいと言われています。
幼い子供、妊娠(胎児に影響)の方は特に注意しましょう。

福島原発事故のような緊急時は
作業員の被ばくの限度は年間「100mSv」まで引き上げられますが
今回は特例でさらに2.5倍の「250mSv」まで許可されているようです。

逆に言えば、その特例を許可しないと
作業ができないほどの強い放射線が原発内にある状態ということ。
原子炉を冷やす作業をしている人たちは
少しでも事態を良くしようと身を呈して作業をしてくれているのだと思います。

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放射線による症状のあらわれ方

放射線による症状のあらわれ方は2種類あります。
「確的影響」と「確的影響」です。

前項にあった図は「確定的影響」の方のみが載っています。

「確定的影響」は一定量以上の放射線を浴びると出る症状です。
例えば、前項の図では「白血球の一時的減少」は
500mSvの放射線を浴びると出る症状ということ。
逆に言えば、500mSv未満の被ばくであればこの症状は出ません。

「確率的影響」は被ばくが多いほど症状が出やすくなるものです。
例えば、「ガン」がそうです。
被ばくの量が多くなるほどガンになる確率が高くなります。

ただ、ほぼ被ばくしていなくてもガンになる人はいますし
逆に、多く被ばくしていてもガンにならない人もいます。

つまり、被ばくをするとガンになる確率は上がりますが
実際にガンになるかどうかは別の話なのです。

タバコや不摂生な生活をするとガンになる確率が上がりますが
実際にガンになるかは人によって違うから分かりませんよね。
確率的影響はこれと同じです。

こちらのページによると
国際放射線防護委員会の勧告では、1000mSvの放射線被ばくをしたときに
致死的なガンが一生涯で発生する確率は「4%」とのことです。
症状が出ないとされる100mSvの場合であれば「0.4%」ということになります。

ちなみに、実際にガンになったとしても
そのガンが自然に発生したのか、被ばくが原因なのかは
見分けることができません。

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放射線から身を守る三原則

放射線から身を守るには
当たり前ではありますが、なるべく被ばくを減らすことが重要になります。
被ばくを減らすための三原則は「時間」「距離」「遮へい」です。

放射線から身を守る三原則

まず「時間」、放射線を浴びる時間を極力短くすること
例えば 2mSv/h の場所に1時間いると 2mSv の放射線を浴びますが
30分であれば半分の 1mSv になります。

次に「距離」、放射線の発生源からなるべく離れること
放射線は距離の2乗に反比例して弱くなります。
例えば、放射線の発生源から1メートルの場所にいる人が 4mSv の放射線を浴びるとすると
発生源から2メートルの場所にいる人は4分の1の 1mSv になります。
つまり、「2倍」離れると放射線を弱める効果は「4倍」になります
少しでもできる限り離れることが重要です。

最後に「遮へい」、放射線と自分との間に遮へい物を置くこと
前項の「放射線の種類」で紹介したようなものを遮へい物として使うと効果的ですが
家の中にいるだけでも一定の効果はあると思います。

自衛隊のヘリコプターが原発の上から放水をしたことがありましたが
その際、上空で停止せず通過しながら水をまくことで「時間」を、
なるべく飛行高度を高くすることで「距離」を、
鉛(なまり)をヘリコプターの床に敷くことで「遮へい」を、
三原則に従いできるだけ被ばくが少なくなるようにしていました。

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放射線はずっと出るわけではない

不安定な元素は不安定な状態を嫌がり
その原因を放射線として外へ放出し安定しようとする
という話を最初にしましたよね。

放射線を出した元素は安定した別の元素に変わっていくので
放射線を出す元素の数は時間が経つほど段々と減っていきます。
数が半分に減るのにかかる時間を「半減期」と言います。

半減期の概念

少し不思議に感じるかもしれませんが
放射線を出す元素の数は一定数ずつ減っていくわけではなく
一定の割合で減っていきます。

例えば、最初に放射線を出す元素が2000個ありその半減期が10分だとすると
10分後には1000個、20分後には500個、30分後には250個 となり
いずれ、ほぼ「0」という状態になります。
ほぼ0の状態であれば放射線はもう出ていないと考えて問題ありません。

半減期は元素ごとに異なり
1秒未満のものから1万年以上のものまで全くバラバラです。

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体の内側からの被ばく「内部被ばく」

外部被ばくと内部被ばく

放射線の被ばくには
「外部被ばく」と「内部被ばく」の2種類があります。

一般的に放射線被ばくと言われてイメージするのは
「外部被ばく」の方だと思います。
「外部被ばく」は自分のまわりに存在する放射性物質から
被ばくを受けることです。

対して「内部被ばく」は
食事や呼吸により放射性物質を体内に取り込んでしまい
身体の内側から被ばくを受けることです。

半減期によって放射線が無視できるくらい弱くなるまで
もしくは放射性物質が体外へ排泄されるまで
被ばくが続くことが問題となります。

前項の放射線から身を守る三原則は外部被ばくには有効ですが
内部被ばくでは実行のしようがありません。
また、外部被ばくであれば無視できていたα線も
至近距離から放射線を出すため無視ができなくなります。

ただ、あらかじめ放射線の発生源と距離を取るようにしておけば
体内へ放射性物質を取り込む確率もぐんと下がるので
外部被ばくの対策自体が内部被ばく対策にもなると思います。

また、なるべく家から出ないようにして窓も開けないようにしましょう。
外出する際は傷口が外気に触れないよう肌の露出を減らし
放射性物質を吸い込まないようにマスクをするとよいです。

最近、作物の放射性物質による汚染が問題となっていますが
汚染されていない普段の食べ物であっても
ある程度は放射性物質が自然と含まれています。
参考値として見てみて下さい。

食べ物に含まれる放射線

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「放射能」と「放射線」の違い

放射線と放射能

太陽と紫外線の関係を考えると
放射能と放射線の違いが分かりやすくなります。

「太陽」は「紫外線を出す能力」を持っています。
なので、太陽からは「紫外線」が出ます。

「放射性物質」は「放射線を出す能力」を持っています。
なので、放射性物質からは「放射線」が出ます。

この放射線を出す能力のことを「放射能」と言います
「放射能が漏れる」「放射能を浴びる」と言ったりしますが
本来は正しい言葉の使い方ではありません。

「放射性物質が漏れる」と言うのが正しいのですが
ちょっと長いですし他に適当な言葉が見当たりません。
「放射能が漏れる」という言い回しもすでに浸透しているので
無理に直す必要はないかと思います。
放射性物質が漏れる → 放射能を持つ物質が漏れる → 放射能が漏れる
となったのかもしれません。

ちなみに、放射線が漏れる「放射線漏れ」と
放射能(放射性物質)が漏れる「放射能漏れ」は
指す状況が異なります。混同しないようにしましょう。

放射線漏れと放射能漏れ

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最初でも書きましたが
放射線の怖さを知ることはとても大切ですが
怖がっているだけでは自分の身を守ることはできません。

放射線の知識を身につけて今後の生活に生かしてみて下さい。

また、記事作成にあたり
下記サイトにある資料の一部を引用(一部編集)しました。

→ JNES 独立行政法人 原子力安全基盤機構

【関連記事】

→ 食物や水の放射能汚染から身を守るために大切なこと

コメント

  1. さち より:

    よく分からないまま放射線を怖がるのではなく
    知識を持ち自分の判断で
    行動できるようになるのが一番よいことですね。

    微力ながらもこの記事が
    少しでも多くの方のお役に立てられたらなと思います。

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